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2013年9月16日 星期一

日文電子繪本:人魚姫 (人魚公主)

文章日期:2012-08-01 22:45
ずっと遠くの、深い海の底に、人魚のお城がありました。お城に住んでいるのは、王さまと六人のお姫さまと、おばあさまです。お妃は何年も前に亡くなったので、おばあさまがお姫さまたちの世話をしていました。  在很遠的深海底裡,有一個人魚的城堡。在城堡裡住著的是,國王、六位公主和奶奶。

お姫さまたちは、おばあさまの話を聞くのが好きでした。  公主們,喜歡聽奶奶說話。

「海のずっと上には、陸地というものがあって、人間が住んでいるの」  「在離海很遠的上面,有個叫做陸地的地方,人類住在那裡」

おばあさまは、人間の世界について話します。  奶奶說著關於人類世界的話語。

「そこには、緑の森があって、小鳥が飛んでいるの。魚たちが、海草の間を泳いでいるようにね。魚たちは黙った泳ぐだけだけど、小鳥は、ほがらかな高い声で歌いながら飛びのよ。地面には、良い香りのする花が咲いていて、人間たちは二本の足で歩いているの」  「在那裡,有綠色的森林,小鳥正飛翔。魚在海草之間游泳。魚只能默默地游泳,但小鳥可以開懷高聲地邊飛邊唱歌喔。在地面,開著味道很香的花,人類用兩隻腳走路」

「上の世界へ行ってみたいな。歌いながら飛ぶ小鳥を見てみたいの」  「我想到上面的世界去哪。想看看邊唱歌邊飛翔的小鳥」

「花の香りを嗅(か)いで見たい。海の底の花には、香りがないんですもの」  「想聞聞看花香。在海底的花,是沒有香味的」

「わたしは、人間たちが歩くところを見てみたいわ。しっぽのかわりの足を、どうやって動かすのかしら」  「我想看看人類走路的地方哇。如何移動用來代替尾巴的腳呢」

「いつになったら、上の世界を見に行けるの?」  「要到何時,才能去上面的世界看看呢?」

お姫さまたちが尋ねると、おばあさまは答えました。  公主們詢問時,奶奶回答著。

「十五の誕生日がきたら、行けるわ」  「當十五歲生日來到時,就可以去了啊」

六人のお姫さまたちは、お城の庭にそれぞれの花園を持っていました。  六位公主,擁有在城堡庭院裡各處的花園。

くじらやコイ、ヒトデ巻き貝の形の花園です。いちばん下の、いちばん小さなお姫さまの花園だけが、まんまるい形をしていました。小さいお姫さまは、自分の花園を、空の真ん中で輝いているという、お日さまの形にしたのです。  是鯨魚和鯉魚、海星及螺貝形狀的花園。在最下面,只有最小的公主的花園,是真正的圓形。小公主把自已的花園,在空中閃耀著光芒,做成了太陽的形狀。

お姫さまは、お日さまの色にそっくりな花を植えて、その中に大理石の像をおきました。美しい若者の像は、ずっと前に沈んだ船から見つけたものです。  公主種滿了太陽顏色的花,在當中放置了一座大理石的人像。美麗的年輕人的人像,很久之前從沉船裡找到的東西。

「人間は、あなたに似ているの? あなたのようにきれいで、優しい様子をしているの?」  「人類和你一樣嗎? 像你一樣漂亮又溫柔的樣子嗎?」

大理石の像に触れながら、お姫さまはたずねます。  一邊摸著大理石的人像時,公主詢問著。

「人間は、こんなに冷たいの? こんなに静かなの?」  「人類如此的冷嗎? 如此地安靜嗎?」

大理石の若者は答えません。かうかなほほえみを浮かべて立っているばかりです。  大理石的年輕人沒有回答。光只是浮現出微笑。

「早く、上の世界へ行ってみたい。お姫さまたちはとっくに十五になって、海の上へ行ったのよ。いちばん上のお姉さまは、あかりが星のようにともっている人間たちの町を見てきたし、二番目のお姉さまは、お日さまが沈むところを見てきたわ。  「好想趕快到上面的世界去看看。公主們好不容易到了十五歲了,去到了海的上面了喔。最大的姊姊,看到了人類的城鎮,就像擁有了明亮的星星那般,第二個姊姊,看到了日落時分。

三番目のお姉さまは、人間の子どもたちに会ったの。子どもたちはみんな可愛いらしくて、二本の足で歩くことも、水にもぐって、魚のように泳ぐこともできるんですって。わたしも、人間に会ってみたい」  第三個姊姊,和人類的小孩子們見面。孩子們真的很可愛,用兩隻腳走路的孩子,也可以潛入水中,像魚那般的游泳。我也,想去看看人類」

お姫さまは、そっとつぶやくのでした。  公主,自言自語著。

いちばん小さいお姫さまも、十五の誕生日を迎えました。  最小的公主也,迎接十五歲的生日了。

「さあ、行って海の上を確かめておいで」  「來吧,先去海的上面觀察一下」

おばあさまに見送られて、お姫さまはまっしぐらに昇って行きました。どこまでもどこまでも昇って、お姫さまが波の上に浮かんだのは、お日さまが沈んだときです。  奶奶目送著,公主全速地游昇上去。一直一直往上昇,公主漂浮在海波上,正是日落時分。

「あれが、船だわ」  「那,是船啊」

お姫さまは、大きな船を見つけて、近づいて行きました。  公主,發現了大船,靠近它游過去。

船には、たくさんの明かりがともされていました。楽しそうな音楽と、歌声と笑い声が響いてきます。    在船裡,點亮了許多明亮的燈。響著歡樂的音樂,歌聲和笑聲。

お姫さまはもっと近づいて、船の上にいる人びとを見ました。きれいな服を着た大勢の人びとは、笑ったり歌ったり踊ったり、ごちそうを食べたりお酒を飲んだりしています。中でもいちばんきれいで立派なのは、若い王子でした。  公主更加地靠近,看到在在船上有人。許多穿著漂亮的衣服的人,嘻笑、唱歌、跳舞,吃著食物、喝著酒。當中最有派頭的是年輕的王子。

「何で素敵な人かしら」  「最棒的人在哪裡呢」

お姫さまは、王子から目を離すことができません。波のあいだに浮かんで、いつまでもいつまでも見つめ続けました。  從王子目光的距離看不到公主。真想永遠浮在海波上,繼續地看著。

すっかり日が暮れると、船の上で花火があがりました。今日は王子の誕生日だったので、人びとがお祝いの花火を上げたのです。人魚のお姫さまの誕生日は、王子の誕生日でもあったのです。が、お姫さまはそんなことを知りません。  完全地日落時,在船上放起了煙火。因為今天是王子的生日,人們燃放祝賀的煙火。人魚公主的生日,也是王子的生日。但,公主並不知道。

何百もの花火は、大きな音をたてて空に昇っていくと、星よりも明るく光りながら海に落ちてきます。花火を見たことがなかったお姫さまは、びっくりして海にもぐりましたが、すぐに浮かび上がって、王子を見ないで入られませんでした。王子は、花火よりも明るく、輝くばかりでした。 當數百枚煙火,在空中響起巨大的聲音時,一邊明亮的星光也隨著落入海裡。看到煙火的公主,嚇了一跳也潛入海裡,立刻浮到海面上時,看不到王子已經進去了。

夜が更けると、船の明かりは消えて、音楽も響かなくなりました。花火ももう上がりません。人びとはみんな、船の底にある部屋に入ってしまったのです。  夜更深了,船上的光亮消失了,音樂也不再響起。也不再燃放煙火。人們都進入船底的房間裡去了。

人魚のお姫さまは、まだ船のそばにいました。波にゆられては船の窓に近づいて、部屋にいる王子を探していたのです。  人魚公主,還在船的附近。在搖晃的海波上往船的窗戶靠近,在房間裡找尋王子的身影。

そのうちに、船が揺れ始めました。  就在那個時候,船開始搖了起來。

「気をつけろ。急いで帆を降ろすんだ。嵐がくるぞ」  「小心。趕快把帆降下來。暴風雨要來了」

水夫たちが叫んで、走り回ります。  水手們叫著,來回地奔跑。

空は、たちまち黒い雲でいっぱいになりました。雷が鳴っていなずまが光り、波が山のように高くうねります。船は、波の上に浮かんだかと思うと、深い谷底に落ちるように激しく、海に引き込まれました。  天空,立刻彌漫著黑雲。雷鳴閃電,像山一般的海浪高高起捲起。船,以為是浮在海浪上時,就像被落在深谷般的激流,捲進海裡。

「船が危ない。このままでは沈んでしまうぞ」 「船有危險。就要沉沒了」

人びとが騒ぎました。が、荒れ狂う海を沈めることはできません。  人們騷動了起來。但,荒亂狂暴的海應該不會沈寂下來。

ごうごうとうなりながら、ひときわ大きな波が襲いかかると、マストがぽっきりと折れました。船は横に傾いて、水がどっと入ってきます。もう一度大波がやってくると、船をまっぶたつに引き裂きました。  強烈的激流,當一波巨大的的海浪襲來時,桅桿啪一聲折斷了。船傾斜橫躺,水瞬間流了進來。再一度大浪來時,船裂開了。

おそろしい音とさけび声をあげて、船は沈んでいきます。  一聲巨大的聲響後,船就沉沒了。

甲板に並んでいた椅子もテーブルも、きれいな服を着て笑っていた人びととも、激しい波にさらわれて海に落ちました。  在甲板

「王子さまはどこ?」

人魚のお姫さまは、若い王子を探しました。

王子は、こわれた椅子やくだけたたーぶるといっしょに、海の底に沈みかけていました。

「ああ、王子さまが、わたしのそばへきてくれる」

お姫さまはうれしくなりました。けれどもすぐに、海の底に沈んだ船や人びとのことを思いだしたのです。

人魚のお城の近くにも、難破した船が沈んでくることがありました。波にもまれながら、深い海の底に落ちた人間は、しっかりと目を閉じて、体は冷たくなっています。

人魚のお城も、きれいなお姫さまたちも、泳ぎ回る魚の群れも、見ることができなくなっているのです。

「人間は、水の中で生きていることができない。溺れて死んでしまうのだわ」

王子さまを助けてあげなければならない。若いきれいな人を、死なせてはならない……

お姫さまはそう思いながら、王子に近づこうとしました。

王子は力いっぱい手と足を動かして、海の上に浮かび上がろうとしています。

けれど、荒れ狂った波が王子をさらいました。

「もう、力が残っていない」

王子はぐったりして、目を閉じました。手も足もつめたくなって、しびれています。

人魚のお姫さまは、ぶつかってくる板やマストの切れ端をよけながら、王子のそばに行きました。

「王子さま、どうか生きていてください」

お姫さまは、王子を抱きあげると、陸をめがけて泳ぎました。

あけがた、嵐はおさまりました。お日さまが昇ってあたりを照らします。

海はすっかり静かになって、波がきらきらと光りました。大きな船はあとかたなく沈んで、海の上には何ひとつ残っていません。

人魚のお姫さまは、小さな入り江に行って行くと、白い砂の上に王子を横たえました。

「ああ、王子さま生きている」

王子の頬が、かすかに赤くなったのを見て、お姫さまはうれしくなりました。

が、王子の体はまだつめたく、目は閉じたままです。

「ななたは、わたいsが大切にしている大理石の若者にそっくり」

そっとささやきながら、お姫さまは王子の髪の毛に触れました。まだ青ざめている唇にキスしました。

見れば見るほど、王子は美しく、優しい様子をしています。お姫さまは王子から離れることができません。ずっととなりにいたいと思いながら、王子を見つめ続けます。王子は、眠りながら微笑んでいるように見えました。今にも目を閉じて、人魚のおひめさまを見つめ返してくれそうでした。

そのとき、入り江の向こうにある教会から、鐘の音が響いてきました。

朝のお祈りが終わったのです。若い娘たちが教会から出てきます。

お姫さまは砂浜から離れると、大きな岩の陰に隠れました。

若い娘がひとり走ってきて、王子を見つけました。娘は急いで王子を助け起こします。

ようやく気がついた王子は、目を閉くと、娘に向かって微笑みました。

けれど、岩の陰にいるの人魚のお姫さまには気がつきません。

「しかたがないわ。王子さまはわたしのことを、少しも知らないのだもの」

お姫さまは、哀しい、寂しい気持ちになりながら海に沈むと、人魚のお姫さまに帰って行きました。

「海の上で、あなたは何を見たの?」

姉さんたちに聞かれても、お姫さまは黙ってほほえむばかりです。

次の日も、その次の日も、お姫さまは海の上に浮かび上がりました。王子と別れた、あの白い砂浜へ行ってみないではいられなくなってしまったのです。

砂浜には、だれもいません。どんなに待っても、王子の姿を見ることはできません。

お姫さまは、高い山の上に積もる雪を見ました。木の実が赤く色づくのも、鳥たちが飛んで行くところも、輝く星も太陽も見ました。人間の子どもも見かけました。

けれど、いちばん見たいと思っている王子は、どこにもいなかったのです。

お姫さまは、一日じゅう花園に座っているようになりました。じっと座って、王子にそっくりな大理石の若者を見つめます。それから、静かに若者を抱き締めるのでした。

「あなたは、王子さまに会いたいと思っているのね」

お姫様の心に気づいた姉さんたちは、知り合いの人魚に、王子のことを聞きました。

すると、王子がいるお城のありかがわかったのです。

「あなたの王子さまがいるところへ行きましょう」

姉さんたちは、小さなお姫さまを連れて、王子のお城のそばまで行きました。

お姫さまは毎晩、王子のお城のすぐ近くまで行くようになりました。海に向かって伸びるテラスの下に隠れて、じっとしているのです。王子がテラスに出てくると、幸せな暖かい思いがあふれました。

「わたしたち人魚は、人間の世界で暮らすことができないのですか?」

お姫さまは、おばあさまに尋ねました。

「できないよ。人魚と人間とは、まるで誓うからね」

どこが誓うのだろうかと、お姫さまは考えました。

人間は、しっぼの変わりに、二本の足を持っています。

人間は、海の底で生きることができません。

「いちばん大きな違いは、人間が魂を持っているということなの」

おばあさまが言いました。

「魂って?」

「魂は、人間が死んでも消えずに残って、天の国へ昇っていけるものなの。目には見えないし、手で触れることもできないけれど、魂は人間が持っている、いちばん貴い、いちばん美しいものなんだよ」

「わたしたち人魚は、魂を持っているないの?」

「もしも人間のひとりが、おまえを好きになってくれて、結婚してくれたら、魂を分けてもらうことができる。でも、そんなことができるわけがない。人間が海の底で暮らせないように、人魚も陸では生きていけないんだからね」

おばあさまの言うことを聞きながら、お姫さまはそっとため息をつくのでした。

お姫さまは、たったひとつのことだけを思うようになりました。

「王子さまが持っている魂というものを、わたしも持ちたい」

そのためなら、どんなことでもしようと、お姫さまは心を決めていました。

「魔法使いに相談してみよう。魔法使いはとでもおそろしいけれど、おばあさまにはできないことができるし、おばあさまが知らないことだって知っているわ」

思いつくと、お姫さまは大渦巻きがあるところへ行きました。魔法使いの家に行くには、ごうごうとうなって渦巻いている水の真ん中を通りぬけなければなりません。

渦巻きの向こうは泥沼で、その向こうは海草の森です。

海草の森には、ねばねばした枝を伸ばして、通りかかったものを捕まえるボリプがいっばいです。お姫さまは、王子の姿を思い浮かべながら、暗い恐ろしい道を抜けていきました。

海の底から集めた人間の骨で作った家に、魔法使いは住んでいます。

人魚のお姫さまを見ると、魔法使いはにやりと笑って言いました。

「あたしにはわかってるよ。きれいなお姫さまが、なぜここへ来たのか」

太った海蛇をなでながら、魔法使いは続けます。

「あんたは、きれいなしっぼを捨てようと思ってる。そのかわりに、二本の棒みたいな足をくっつけて、王子のそばに行きたがってる。そうすれば、王子があんたを好きになって、魂を分けてくれると思うんだろう?」

「その通りよ」

お姫さまは言いました。

「あなたなら、しっぼを二本の足に変える方法を知っていると思ったの。わたしはどんなことでもして、王子さまのそばに行きたい」

「人間の王子を、愛しているというんだね」

「そうよ。お父さまよりもおばあさまよりもお姉さまたちよりも、わたしはあのかたが好きだわ」

お姫さまが答えると、魔法使いはぞっとするような声を上げて笑いました。

「やめた方がいいね。あんたはきっと不幸せになる。人間が、あんたを幸せにしてくれるわけがないじゃないか」

「王子さまのそばに行ければ、わたしはきっと幸せになれるわ」

お姫さまは、きっばりと言いました。

「どうしてもと言うのなら、薬をあげてもいいけどね。あんたは薬を持って、陸にあがるんだ。お日さまが昇ってくる前に薬を飲めば、きれいなしっぼはちぢんで、足というものが生えてくる。でもその足は、あんたが歩くたびに、鋭いナイフで突き刺されたように痛むよ」

魔法使いは、お姫さまに言い聞かせました。

「そして人間の姿になってしまったら、もう二度と、海の底にある人魚の城に戻ることはできない。王子があんたと結婚してくれれば、魂ってものが手に入るさ。だけどほかの女と結婚したらどうなると思う?あんなの胸は破けて、体は水の泡になっちまうんだよ。それでも薬がほしいかい」

「どうなってもかまいません。王子さまのそばに行けるのなら」

お姫さまの心は変わりません。

「それからもうひとつある。薬代をもらうよ。大切な、よく効く薬をあげるんだから、あんたからも、いちばんいいものをもらう。薬のかわりにあたしが受け取るのは、あんたの声だよ」

お姫さまは、海の底にいるだれよりも美しい声を持っていたのです。

「わつぃは、王子さまに話しかけたり、歌ったりしてあげたかったの。でも声をなくしたら、何もできなくなってしまう」

お姫さまがつぶやくと、魔法使いが慰めました。

「でもるさ。あんたには、可愛い姿と、きらきら輝く目があるじゃないか。そいつで王子の心を捉えればいい」

「わかったわ。どうぞわたしの声をとって、かわりに薬をください」

薬を持って、お姫さまは大渦巻きを潜り抜けました。人魚のお城が見えてきましたが、お姫さまはそこへ戻ろうとはしませんでした。みんなに会って、さようならを言いたくても、声はもうありません。話すことも歌うことも、笑い声を響かせることもできないのです。

お姫さまはそっとお城の庭に行って、長い長いあいだ、お父さまやおばあさまやお姉さまたちがいる部屋の窓を見上げていました。

「わたしは二度と、ここに戻ってきません。王子さまと結婚して、魂を手に入れることができたとしても、水の泡になって消えたとしても、もうここへは戻れないのです」

心のおくで、お姫さまは言いました。

「わたしがいなくなっても、どうか悲しまないでください」

別れの悲しみがこみあげて、お姫さまの胸は張り裂けそうでした。

けれど、もう行かなければなりません。お日さまが昇る前に、陸に着かなければならないのです。

なつかしい窓のひとつひとつにキスをおくったあとで、お姫さまは海の上へ昇って行きました。

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