結婚については、条件がありました。国王に代々伝えられ、代々守られている条件です。 結婚有個條件。國王代代相傳,代代保存下來的條件。
王妃は財(ざい)産(さん)を管(かん)理(り)するが、政(せい)治(じ)と裁(さい)判(ばん)に口をはさんではならない、というものでした。 王妃要管理財產,但是不可以插嘴政治和裁判有關的事。
賢い娘は条(じょう)件(けん)を守り、王さまのすることに口出しはしなかったのです。 聰明的女兒嚴守這個條件,不插嘴國王裁決的事。
何年かが過ぎて、王さまはふたりの男を裁(さば)きました。 過了不知多少年,國王為兩個男子裁決。
男のひとりは二頭の牛持ちで、もうひとりは三頭の馬持ちです。 某個男子擁有二頭牛,另一個擁有三頭馬。
馬の一頭は生まれたばかりの子馬でした。ふたりはそれぞれの牛と馬を連れて市場に行ったのですが、子馬が驚いて逃げ出しました。 有一隻馬生了小馬。兩人把這些牛和馬帶到市場去,小馬因為受驚逃了出去。
逃げた子馬は、牛のそばに行くと、ぐっすり眠ってしまったのです。 逃走的小馬,走在牛的旁邊,沉沉地睡著了。
牛持ちは子馬を連れて行ってしまいました。 擁有牛的男子帶著小馬走了。
「子馬はわたしのものです。すぐに返すように行ってください」 「小馬是我的東西。馬上還給我」
馬持ちが訴えると、牛持ちが言い返しました。 擁有馬的告訴,擁有牛的要歸返小馬。
「子馬は二頭の牛のものです。牛たちは子馬を、わが子として育てているのです。つまり、わたしの牛から生まれたこともが子馬。そして牛はわたしのもの、だから返すことはできません」 「小馬是二頭牛的東西。我們把小馬當做牛的小孩養育著。算是我的牛生了小馬。由於牛是我的東西,因此不用歸還」
「子馬は、牛たちとともにいるがいい」 「小馬和牛們在一起也可以啊」
王さまのお裁きです。子馬は牛持ちのものになってしまいました。 這是國王的裁決。小馬變成了擁有牛的男子的東西。
裁判の終わって間もないある日、馬車を進めていた王さまは、馬持ちを見つけました。 判決結束後沒有多久,有一天,正要搭馬車的國王,發現了擁有馬的男子。
道路の真ん中に立って、馬持ちは網を打っています。 擁有馬的男子,站在道路的正中央撒網。
「頭がいかれてしまったに違いあるまい。水一滴もない道路に網を打って、魚を採るつもりなんだ」 「你的頭跑到哪裡去啦,弄錯了吧。在一滴水也沒有的道路上撒網,是打算捕魚嗎」
家来たちがげらげら笑います。王さまは馬車を止めさせると、馬持ちを呼んで尋ねました。 家臣們咯咯地笑了起來。國王的馬車停下來後,呼叫擁有馬的男子來尋問。
「ここで何をする」 「你在這裡做什麼?」
「魚採り、つまり漁をしております」 「捕魚,打算要捕魚」
からっぽの網を引き上げながら、馬持ちが答えます。 一邊拿起空的網,擁有馬的男子回答著。
「魚は水に住むものだ。海でもなく川でもなく、湖でも池でもない道の真ん中で、魚が採れる思うのか」 「魚住在水裡。不是海、不是河,在不是湖或池塘的道路的正中央捕魚,在想什麼?」
「思いますとも。牛から子馬が生まれるのなら、道路から魚が採れるのが道理ではありませんか」 「我是這麼認為。如果牛可以生出小馬的話,在路上捕魚也不是沒有道理的嘛」
馬持ちは言って、また網を投げました。 擁有馬的男子說,又再撒網。
「王妃の入れ知恵に違いないぞ」 「王妃肯定會出主意的」
王さまにはわかりました。馬を育てるだけの男に、地面から魚を採る知恵が浮かぶわけがありません。王さまが察したとおり、馬持ちは賢い王妃に相談して、王さまに裁判が間違っていたことを知らせたのです。 國王清楚了。只是養了馬的男子,從地面捕魚,沒有浮現出任何主意。按照國王的觀察,和聰明的王妃商量,擁有馬的男子的事情,大家都知道國王的裁判是錯的。
王さまは過ちを認めました。裁判をやり直して、子馬を牛待ちから取り戻すと、馬持ちに返してやったのです。けれど、代々伝わっている王家の決まりは守らなければなりません。裁判所に立たなかったとはいえ、王妃は決まりを破りました。王さまの裁きに口を挟んだのです。 國王承認了過錯。重新再做判決,從擁有牛的男子那裡取回小馬後,返給了擁有馬的男子。但是,必需保持代代相傳的王家的判決。不站在裁判所的立場來說,王妃違背了規定。插嘴了國王的判決。
「おまえを追(おい)放(はな)しなければならない」 「必需驅逐妳」
沈んだ声で、王さまは言いました。 以沉寂的聲音,國王這麼說。
「理由は分かっているな」 「這是沒有理由的」
「はい」 「好的」
と、王妃は答えました。 王妃 回答。
「あなたに過ちを犯させたくなかったから、わたしは決まりを破りました。お別れする覚悟はできております。明日、お城を出て家に戻りますわ」 「因為不想讓你犯錯,所以我違背了規定。我已經做好離別的覺悟了。明天,就會出城回家去了啊」
ほほえんだ王妃の前に、ふたつの盃(さかずき)が運(はこ)ばれました。王さまとの別れの盃です。 在微笑的王妃面前,送來了兩個酒杯,和國王離別的酒杯。
「お願いがございます」 「我有個請求」
盃を合わせて、王妃が言いました。 酒杯合在一起時,王妃這麼說。
「何年ものときを、ごいっしょに過ごさせていただきました。その記念に何かひとつ、持って帰ることをお許しくださいまし」 「在一起渡過了好幾年。請答應我帶一個什麼東西回去,做個記念。」
「何が欲しい」 「你想要什麼」
「わたしがいちばん愛している、いちばん大切にしているものを持って帰りたいのです」 「我想帶著我最愛,最在意的東西回去」
「何なりと持ち帰るがよい。樽にいっぱいの金貨でも、王妃の冠でも与える」 「無論想帶什麼東西都好。甚至是滿滿的金幣,連王妃的王冠也給妳」
「ありがとうございます」 「謝謝」
慎(つつ)ましやかに礼を言った王妃のとなりで、王さまはテーブルに頭を乗せました。 在王妃的隔壁謹慎地說著禮物,國王一頭栽到了桌上。 (つつまし [慎まし] 1. 謙虛;謙恭;客客氣氣 2. 謹慎;樸實。)
王妃が盃に入れておいた眠り薬が効いてきたのです。 王妃在酒杯裡加入的安眠藥發揮了效用。
「あとは、わたしが言ったとおりにしておくれ」 「之後按照我說的去做」
王妃は召し使いたちに言いつけました。 王妃吩咐著使者。
朝が来て、王さまは目を覚ましました。 第二天早上,國王一覺醒來。
「ここはどうこだ」 「這是什麼地方」
首を傾(かし)げて、あたりを見回します。着ているものは、昨夜と同じでした。 歪著頭感到疑惑,轉頭看看周圍。正穿著和昨夜同樣的衣物。
が、眠っていたのは、いつものベッドえはありません。 但,我是睡著了,沒有在平常的床上。
羽布団のかわりにかけてあるのは藁(わら)をつめた布団でした。 取代了羽毛被蓋著的是裝了稻草的被子。
「お目覚めですか、王さま」 「醒來了嗎?國王」
聞き覚えのある声に、王さまの目がまんまるになりました。 感覺到有聽見聲音,國王睜大了眼睛。
粗(そ)末(まつ)な部屋に入ってきたのは王妃だたのです。 是穿著粗鄙的王妃進入了房間。
「ここは、わたしの家でございます」 「這裡是我的家」
王妃は言いました。 王妃說。
「あなたは昨夜、約束してくださいました。わたしがいちばん愛していて、いちばん大切にしているものを、持ち帰ることを許してくださったのです。この命がある限り、わたしがいちばん愛して大切に思うのはあなたなのですわ」 「你昨夜,和我約定。答應我把最愛、最在意的東西帶回家去。這是你的命,我認為最愛、最在意的就是你啊!」
王さまは黙ったまま、しっかりと王妃を抱きしめました。 國王就那樣默默地,緊緊地抱著王妃。
「おまえは、世界でいちばん賢いお妃だ。二度と離すものか」 「你是世界上最聰明的王妃。我再也不會離開你了」
王妃は、いちばん愛して、大切にしている人に抱かれたままお城に戻りました。 王妃被最愛、最在意的人,抱著回到城堡裡去了。
それからの王さまは、何につけても王妃の考えを聞くようになり、ふたりは末(すえ)長(なが)くしあわせに暮らしたということです。 從今以後國王,無論任何事都會聽聽王妃的意見,據說兩個人過著永遠幸福的生活。
王妃は財(ざい)産(さん)を管(かん)理(り)するが、政(せい)治(じ)と裁(さい)判(ばん)に口をはさんではならない、というものでした。 王妃要管理財產,但是不可以插嘴政治和裁判有關的事。
賢い娘は条(じょう)件(けん)を守り、王さまのすることに口出しはしなかったのです。 聰明的女兒嚴守這個條件,不插嘴國王裁決的事。
何年かが過ぎて、王さまはふたりの男を裁(さば)きました。 過了不知多少年,國王為兩個男子裁決。
男のひとりは二頭の牛持ちで、もうひとりは三頭の馬持ちです。 某個男子擁有二頭牛,另一個擁有三頭馬。
馬の一頭は生まれたばかりの子馬でした。ふたりはそれぞれの牛と馬を連れて市場に行ったのですが、子馬が驚いて逃げ出しました。 有一隻馬生了小馬。兩人把這些牛和馬帶到市場去,小馬因為受驚逃了出去。
逃げた子馬は、牛のそばに行くと、ぐっすり眠ってしまったのです。 逃走的小馬,走在牛的旁邊,沉沉地睡著了。
牛持ちは子馬を連れて行ってしまいました。 擁有牛的男子帶著小馬走了。
「子馬はわたしのものです。すぐに返すように行ってください」 「小馬是我的東西。馬上還給我」
馬持ちが訴えると、牛持ちが言い返しました。 擁有馬的告訴,擁有牛的要歸返小馬。
「子馬は二頭の牛のものです。牛たちは子馬を、わが子として育てているのです。つまり、わたしの牛から生まれたこともが子馬。そして牛はわたしのもの、だから返すことはできません」 「小馬是二頭牛的東西。我們把小馬當做牛的小孩養育著。算是我的牛生了小馬。由於牛是我的東西,因此不用歸還」
「子馬は、牛たちとともにいるがいい」 「小馬和牛們在一起也可以啊」
王さまのお裁きです。子馬は牛持ちのものになってしまいました。 這是國王的裁決。小馬變成了擁有牛的男子的東西。
裁判の終わって間もないある日、馬車を進めていた王さまは、馬持ちを見つけました。 判決結束後沒有多久,有一天,正要搭馬車的國王,發現了擁有馬的男子。
道路の真ん中に立って、馬持ちは網を打っています。 擁有馬的男子,站在道路的正中央撒網。
「頭がいかれてしまったに違いあるまい。水一滴もない道路に網を打って、魚を採るつもりなんだ」 「你的頭跑到哪裡去啦,弄錯了吧。在一滴水也沒有的道路上撒網,是打算捕魚嗎」
家来たちがげらげら笑います。王さまは馬車を止めさせると、馬持ちを呼んで尋ねました。 家臣們咯咯地笑了起來。國王的馬車停下來後,呼叫擁有馬的男子來尋問。
「ここで何をする」 「你在這裡做什麼?」
「魚採り、つまり漁をしております」 「捕魚,打算要捕魚」
からっぽの網を引き上げながら、馬持ちが答えます。 一邊拿起空的網,擁有馬的男子回答著。
「魚は水に住むものだ。海でもなく川でもなく、湖でも池でもない道の真ん中で、魚が採れる思うのか」 「魚住在水裡。不是海、不是河,在不是湖或池塘的道路的正中央捕魚,在想什麼?」
「思いますとも。牛から子馬が生まれるのなら、道路から魚が採れるのが道理ではありませんか」 「我是這麼認為。如果牛可以生出小馬的話,在路上捕魚也不是沒有道理的嘛」
馬持ちは言って、また網を投げました。 擁有馬的男子說,又再撒網。
「王妃の入れ知恵に違いないぞ」 「王妃肯定會出主意的」
王さまにはわかりました。馬を育てるだけの男に、地面から魚を採る知恵が浮かぶわけがありません。王さまが察したとおり、馬持ちは賢い王妃に相談して、王さまに裁判が間違っていたことを知らせたのです。 國王清楚了。只是養了馬的男子,從地面捕魚,沒有浮現出任何主意。按照國王的觀察,和聰明的王妃商量,擁有馬的男子的事情,大家都知道國王的裁判是錯的。
王さまは過ちを認めました。裁判をやり直して、子馬を牛待ちから取り戻すと、馬持ちに返してやったのです。けれど、代々伝わっている王家の決まりは守らなければなりません。裁判所に立たなかったとはいえ、王妃は決まりを破りました。王さまの裁きに口を挟んだのです。 國王承認了過錯。重新再做判決,從擁有牛的男子那裡取回小馬後,返給了擁有馬的男子。但是,必需保持代代相傳的王家的判決。不站在裁判所的立場來說,王妃違背了規定。插嘴了國王的判決。
「おまえを追(おい)放(はな)しなければならない」 「必需驅逐妳」
沈んだ声で、王さまは言いました。 以沉寂的聲音,國王這麼說。
「理由は分かっているな」 「這是沒有理由的」
「はい」 「好的」
と、王妃は答えました。 王妃 回答。
「あなたに過ちを犯させたくなかったから、わたしは決まりを破りました。お別れする覚悟はできております。明日、お城を出て家に戻りますわ」 「因為不想讓你犯錯,所以我違背了規定。我已經做好離別的覺悟了。明天,就會出城回家去了啊」
ほほえんだ王妃の前に、ふたつの盃(さかずき)が運(はこ)ばれました。王さまとの別れの盃です。 在微笑的王妃面前,送來了兩個酒杯,和國王離別的酒杯。
「お願いがございます」 「我有個請求」
盃を合わせて、王妃が言いました。 酒杯合在一起時,王妃這麼說。
「何年ものときを、ごいっしょに過ごさせていただきました。その記念に何かひとつ、持って帰ることをお許しくださいまし」 「在一起渡過了好幾年。請答應我帶一個什麼東西回去,做個記念。」
「何が欲しい」 「你想要什麼」
「わたしがいちばん愛している、いちばん大切にしているものを持って帰りたいのです」 「我想帶著我最愛,最在意的東西回去」
「何なりと持ち帰るがよい。樽にいっぱいの金貨でも、王妃の冠でも与える」 「無論想帶什麼東西都好。甚至是滿滿的金幣,連王妃的王冠也給妳」
「ありがとうございます」 「謝謝」
慎(つつ)ましやかに礼を言った王妃のとなりで、王さまはテーブルに頭を乗せました。 在王妃的隔壁謹慎地說著禮物,國王一頭栽到了桌上。 (つつまし [慎まし] 1. 謙虛;謙恭;客客氣氣 2. 謹慎;樸實。)
王妃が盃に入れておいた眠り薬が効いてきたのです。 王妃在酒杯裡加入的安眠藥發揮了效用。
「あとは、わたしが言ったとおりにしておくれ」 「之後按照我說的去做」
王妃は召し使いたちに言いつけました。 王妃吩咐著使者。
朝が来て、王さまは目を覚ましました。 第二天早上,國王一覺醒來。
「ここはどうこだ」 「這是什麼地方」
首を傾(かし)げて、あたりを見回します。着ているものは、昨夜と同じでした。 歪著頭感到疑惑,轉頭看看周圍。正穿著和昨夜同樣的衣物。
が、眠っていたのは、いつものベッドえはありません。 但,我是睡著了,沒有在平常的床上。
羽布団のかわりにかけてあるのは藁(わら)をつめた布団でした。 取代了羽毛被蓋著的是裝了稻草的被子。
「お目覚めですか、王さま」 「醒來了嗎?國王」
聞き覚えのある声に、王さまの目がまんまるになりました。 感覺到有聽見聲音,國王睜大了眼睛。
粗(そ)末(まつ)な部屋に入ってきたのは王妃だたのです。 是穿著粗鄙的王妃進入了房間。
「ここは、わたしの家でございます」 「這裡是我的家」
王妃は言いました。 王妃說。
「あなたは昨夜、約束してくださいました。わたしがいちばん愛していて、いちばん大切にしているものを、持ち帰ることを許してくださったのです。この命がある限り、わたしがいちばん愛して大切に思うのはあなたなのですわ」 「你昨夜,和我約定。答應我把最愛、最在意的東西帶回家去。這是你的命,我認為最愛、最在意的就是你啊!」
王さまは黙ったまま、しっかりと王妃を抱きしめました。 國王就那樣默默地,緊緊地抱著王妃。
「おまえは、世界でいちばん賢いお妃だ。二度と離すものか」 「你是世界上最聰明的王妃。我再也不會離開你了」
王妃は、いちばん愛して、大切にしている人に抱かれたままお城に戻りました。 王妃被最愛、最在意的人,抱著回到城堡裡去了。
それからの王さまは、何につけても王妃の考えを聞くようになり、ふたりは末(すえ)長(なが)くしあわせに暮らしたということです。 從今以後國王,無論任何事都會聽聽王妃的意見,據說兩個人過著永遠幸福的生活。
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