昔むかしのこと。ある国に、新しい服が何よりも好きな王さまがいました。 從前從前的故事。某個國家,有一位最喜歡新衣服的國王。
(何よりも好きな 比起任何事情都喜歡。)
朝から晩まで、考えるのは着るもののことばかり。 雖然從早到晚,光是只想著穿著的事。 (用言連體形 + ものの 雖然~但是。表示姑且承認前項,但後項不能照著發展下去。相當地「~けれども~、~が~」)
仕事をするのは、着るものを決めてからです。 但,是否要工作,要決定穿著之後。
朝ご飯を食べるときは朝ごはん用の服、午前中の会議には午前中の会議用の服を着ます。 早上吃飯時有早飯穿的衣服,上午的會議有上午會議穿的衣服。
昼ごはんにはもちろん昼ごはん用の服に着(き)替(か)える、散歩に行くときには散歩用の服に着替えるのです。 午飯當然會換午飯穿的衣服,去散步時換散步穿的衣服。
昼寝をするときは昼寝用、夕ご飯には夕ご飯には夕ご飯用、舞(ぶ)踏(とう)会(かい)には舞踏会用、眠るときには眠り用と、王さまは一日に十回も二十回も着替えをしました。 睡午覺時有午睡服,晚飯有晚飯服,舞蹈會有舞蹈服,睡覺時有睡衣,國王一天換了十幾二十次。
着替えをするたびに鏡を見て言うのです。 每當換衣服時,對著鏡子說。
「素敵だ。なかなかいいぞ。次はどんな服を着ようかな」 「真棒。相當好啊。下次要穿什麼衣服呢」
ある日のこと。お城にふたりの男がやってきました。大嘘つきの詐欺師たちです。 有一天。有兩個男子來到城堡裡。是說大謊的詐欺師。
「わたくしどもは、世界でいちばんの仕立て屋でございます」 「至於我們,曾受邀在世界最棒的裁縫店工作」
「わたくしどもは、布を織ることから仕事を始めます。そこいらへんの仕立て屋とはまるで違うのです」 「至於我們,因為織布所以開始工作。這裡和那邊所謂的裁縫店簡直是不一樣的。」
「その上に、私どもが織る布には、不思議な力(ちから)がございます」 「而且,關於我們織的布,有不可思議的力量」
「賢くて正直で真面目な人にだけ見える布なのです」 「只有真正聰明正直的人才看得見的布」
「愚か者や嘘つきや怠け者は、布はもちろんのこと、布で作った服も見ることができないのでございます」 「愚笨的和說謊以及懶散的人,看不見布是當然的事,也不能看見用這個布作的衣服。」
詐欺師たちは、得意の嘘を並べ立てました。 詐欺師們得意地說了一連串的謊話。
「ほうほう、それはおもしろい。珍しい布を、すぐに織ってくれ。急いで服を作ってもらおう」 「噢噢,那很有趣。馬上去為我織這珍貴的布。趕快為我做成衣服」
王さまは、ころりと騙(だま)されてしまいました。 國王一下子就被騙了。
「ですが王さま、特別の布を織るためには、大変お金がかかります」 「但是國王,由於要織這特別的布,要花很多的金錢」
「お金ならいくらでも払(はら)ってやるぞ」 「無論多少先付錢的話」
新しい服に目がない王さまは、詐欺師たちに金貨を山ほど渡しました。 著迷於新衣服的國王,給了詐欺師們像山一樣的錢。
「ありがとうございます。さっそく仕事にかかります」 「謝謝您。立刻著手工作」
お辞儀をしながら、ふたりは心の中でぺろりと舌を出しました。 一邊行禮,一邊在兩個人的心中卻伸了伸舌頭。 (ぺろりと舌を出す 伸了伸舌頭,有惡作劇得逞的感覺。)
詐欺師たちは、お城にある機(はた)織(お)り部屋に閉じこもりました。 詐欺師們,待在城裡並且一直關在織布房裡。
トンパタトンパタ、機織り機を動(うご)かしましたが [逆接]、糸はかかっていないし、布も織られてはいません。 咚啪嗒咚啪嗒,織布機動了嗎,但是沒有掛上絲線,布也不能被織出來。
ふたりは、布を織っているふりをしているだけだったのです。 兩個人,只是裝做正在織布。
二日たつと、王さまは大臣を呼んで言いつけました。 過了兩天,國王喚來大臣吩咐說。
「どんな布を織っているのか見てきてくれ」 「去幫我看看織了什麼樣的布」
大臣は、詐欺師たちの仕事場に行きました。 大臣去到了詐欺師的工作場所。
ふたりは一生懸命に働いていますが、糸も布も見えません。 兩個人拚命地工作,但是絲線啦布啦都沒有看見。
見えないのが当たり前なのに、大臣は王さまに報告しました。 明明沒有看見是應該的,大臣對國王報告說。
「見たこともないくらい、すばらしい布でございました」 「從來不曾見過,如此棒的布」
愚かで嘘つきで怠けものと思われたくなかった大臣は、嘘をつきました。 不想被認為是笨蛋、說謊、懶散的大臣,說了謊。
一週間過ぎて、王さまは詐欺師たちの仕事場に行きました。 過了一個星期之後,國王去到詐欺師的工作場所去。
たくさんの家来も一緒です。 和許多的家臣一起。
「ようこそ、王さま。たったの今、布ができあがったところでございます」 「歡迎,國王。直到現在,應該織出來的布在這裡」
詐欺師たちはうやうやしくお辞儀をして、布を広げるふりをしました。 詐欺師們恭敬有禮貌地,把布展開來。
「なんと美しい色でしょう。輝(かがや)くばかりでございます」 「多麼美的顏色啊。閃閃發光地」
「手触(ざわ)りをお確かめくださいませ。なんとやわらかく、なんとすべすべしていることでしょう」 「請您用手感覺確認看看。多麼地柔軟、多麼地光滑啊」
王さまはびっくりしました。 國王嚇了一跳。
詐欺師たちの腕は空(から)っぽて、布の欠(か)けらも見えないのです。 因為從詐欺師們的手臂空空的,完全沒有看見布。
「何にも見えないといったら、わたしは愚(おろ)かで嘘つきで怠け者になってしまう」 「如果說沒看見任何東西的話,我就變成笨蛋說謊懶散的人了吧」
そう思った王さまは、布を撫(な)でたりさすったりするふりをしました。 國王這麼一想,就裝做撫摸了又摩搓了布的樣子。
それから胸を張って言いました。 然後挺起胸說了。
「見(み)事(ごと)な布だ。色も手ざわりも最高だぞ」 「很精緻的布。顏色和觸感也都是最好的」
家来たちも口をそろえます。 家臣們也都異口同聲說。
「美しい、すばらしい布でございます」 「好美啊,多棒的布啊」
みんな、嘘つきや愚か者や怠け者と思われたくなかったのです。 大家都不想被認為是說謊、愚笨和懶散的人。
「パレード (parade) には、この布で作った新しい服をお召しくださいませ。世界一立派で、素敵に見えることでしょう」 「在遊行時,穿上這塊布作成新的衣服。是世界最氣派,看起來最棒的吧」
詐欺師がすすめると、家来たちがうなずきました。 詐欺師們如此建議著,家臣也都點頭肯定。
「それは良い考えだ。この布で作った服ならきっとすばらしいぞ」 「我認為那是很好的。用這塊布作成的衣服必定是很棒的囉!」
王さまも言いました。 國王也這麼說。
「最高の服を作ってくれ。楽しみにしているぞ」 「作成最高級的衣服。正期待著囉!」
「かしこまりました。しかし、仕立てにはたくさんのお金がかかります。お金や銀の糸で縫い取りをつけなければなりませんし、ボタンはほんもののダイヤモンドを使わなければなりません。世界一の王さまに相応しい、世界一の服を作るのですから」 「謹遵您的命令。但是,因為裁縫要花許多的錢。必需使用金和銀的絲線縫製,鈕釦必需使用真正的鑽石。因為要搭配世界第一的國王,而作成的世界第一的衣服」
「わかった。必(かなら)ずほんもののダイヤモンドを使うのだぞ」 「我知道了。必定要使用真正的鑽石吧」
王さまはうなずいて、山ほどの金貨を詐欺師たちに渡しました。 國王答應了,交給詐欺師們像山一樣的金幣。
朝から晩まで、考えるのは着るもののことばかり。 雖然從早到晚,光是只想著穿著的事。 (用言連體形 + ものの 雖然~但是。表示姑且承認前項,但後項不能照著發展下去。相當地「~けれども~、~が~」)
仕事をするのは、着るものを決めてからです。 但,是否要工作,要決定穿著之後。
朝ご飯を食べるときは朝ごはん用の服、午前中の会議には午前中の会議用の服を着ます。 早上吃飯時有早飯穿的衣服,上午的會議有上午會議穿的衣服。
昼ごはんにはもちろん昼ごはん用の服に着(き)替(か)える、散歩に行くときには散歩用の服に着替えるのです。 午飯當然會換午飯穿的衣服,去散步時換散步穿的衣服。
昼寝をするときは昼寝用、夕ご飯には夕ご飯には夕ご飯用、舞(ぶ)踏(とう)会(かい)には舞踏会用、眠るときには眠り用と、王さまは一日に十回も二十回も着替えをしました。 睡午覺時有午睡服,晚飯有晚飯服,舞蹈會有舞蹈服,睡覺時有睡衣,國王一天換了十幾二十次。
着替えをするたびに鏡を見て言うのです。 每當換衣服時,對著鏡子說。
「素敵だ。なかなかいいぞ。次はどんな服を着ようかな」 「真棒。相當好啊。下次要穿什麼衣服呢」
ある日のこと。お城にふたりの男がやってきました。大嘘つきの詐欺師たちです。 有一天。有兩個男子來到城堡裡。是說大謊的詐欺師。
「わたくしどもは、世界でいちばんの仕立て屋でございます」 「至於我們,曾受邀在世界最棒的裁縫店工作」
「わたくしどもは、布を織ることから仕事を始めます。そこいらへんの仕立て屋とはまるで違うのです」 「至於我們,因為織布所以開始工作。這裡和那邊所謂的裁縫店簡直是不一樣的。」
「その上に、私どもが織る布には、不思議な力(ちから)がございます」 「而且,關於我們織的布,有不可思議的力量」
「賢くて正直で真面目な人にだけ見える布なのです」 「只有真正聰明正直的人才看得見的布」
「愚か者や嘘つきや怠け者は、布はもちろんのこと、布で作った服も見ることができないのでございます」 「愚笨的和說謊以及懶散的人,看不見布是當然的事,也不能看見用這個布作的衣服。」
詐欺師たちは、得意の嘘を並べ立てました。 詐欺師們得意地說了一連串的謊話。
「ほうほう、それはおもしろい。珍しい布を、すぐに織ってくれ。急いで服を作ってもらおう」 「噢噢,那很有趣。馬上去為我織這珍貴的布。趕快為我做成衣服」
王さまは、ころりと騙(だま)されてしまいました。 國王一下子就被騙了。
「ですが王さま、特別の布を織るためには、大変お金がかかります」 「但是國王,由於要織這特別的布,要花很多的金錢」
「お金ならいくらでも払(はら)ってやるぞ」 「無論多少先付錢的話」
新しい服に目がない王さまは、詐欺師たちに金貨を山ほど渡しました。 著迷於新衣服的國王,給了詐欺師們像山一樣的錢。
「ありがとうございます。さっそく仕事にかかります」 「謝謝您。立刻著手工作」
お辞儀をしながら、ふたりは心の中でぺろりと舌を出しました。 一邊行禮,一邊在兩個人的心中卻伸了伸舌頭。 (ぺろりと舌を出す 伸了伸舌頭,有惡作劇得逞的感覺。)
詐欺師たちは、お城にある機(はた)織(お)り部屋に閉じこもりました。 詐欺師們,待在城裡並且一直關在織布房裡。
トンパタトンパタ、機織り機を動(うご)かしましたが [逆接]、糸はかかっていないし、布も織られてはいません。 咚啪嗒咚啪嗒,織布機動了嗎,但是沒有掛上絲線,布也不能被織出來。
ふたりは、布を織っているふりをしているだけだったのです。 兩個人,只是裝做正在織布。
二日たつと、王さまは大臣を呼んで言いつけました。 過了兩天,國王喚來大臣吩咐說。
「どんな布を織っているのか見てきてくれ」 「去幫我看看織了什麼樣的布」
大臣は、詐欺師たちの仕事場に行きました。 大臣去到了詐欺師的工作場所。
ふたりは一生懸命に働いていますが、糸も布も見えません。 兩個人拚命地工作,但是絲線啦布啦都沒有看見。
見えないのが当たり前なのに、大臣は王さまに報告しました。 明明沒有看見是應該的,大臣對國王報告說。
「見たこともないくらい、すばらしい布でございました」 「從來不曾見過,如此棒的布」
愚かで嘘つきで怠けものと思われたくなかった大臣は、嘘をつきました。 不想被認為是笨蛋、說謊、懶散的大臣,說了謊。
一週間過ぎて、王さまは詐欺師たちの仕事場に行きました。 過了一個星期之後,國王去到詐欺師的工作場所去。
たくさんの家来も一緒です。 和許多的家臣一起。
「ようこそ、王さま。たったの今、布ができあがったところでございます」 「歡迎,國王。直到現在,應該織出來的布在這裡」
詐欺師たちはうやうやしくお辞儀をして、布を広げるふりをしました。 詐欺師們恭敬有禮貌地,把布展開來。
「なんと美しい色でしょう。輝(かがや)くばかりでございます」 「多麼美的顏色啊。閃閃發光地」
「手触(ざわ)りをお確かめくださいませ。なんとやわらかく、なんとすべすべしていることでしょう」 「請您用手感覺確認看看。多麼地柔軟、多麼地光滑啊」
王さまはびっくりしました。 國王嚇了一跳。
詐欺師たちの腕は空(から)っぽて、布の欠(か)けらも見えないのです。 因為從詐欺師們的手臂空空的,完全沒有看見布。
「何にも見えないといったら、わたしは愚(おろ)かで嘘つきで怠け者になってしまう」 「如果說沒看見任何東西的話,我就變成笨蛋說謊懶散的人了吧」
そう思った王さまは、布を撫(な)でたりさすったりするふりをしました。 國王這麼一想,就裝做撫摸了又摩搓了布的樣子。
それから胸を張って言いました。 然後挺起胸說了。
「見(み)事(ごと)な布だ。色も手ざわりも最高だぞ」 「很精緻的布。顏色和觸感也都是最好的」
家来たちも口をそろえます。 家臣們也都異口同聲說。
「美しい、すばらしい布でございます」 「好美啊,多棒的布啊」
みんな、嘘つきや愚か者や怠け者と思われたくなかったのです。 大家都不想被認為是說謊、愚笨和懶散的人。
「パレード (parade) には、この布で作った新しい服をお召しくださいませ。世界一立派で、素敵に見えることでしょう」 「在遊行時,穿上這塊布作成新的衣服。是世界最氣派,看起來最棒的吧」
詐欺師がすすめると、家来たちがうなずきました。 詐欺師們如此建議著,家臣也都點頭肯定。
「それは良い考えだ。この布で作った服ならきっとすばらしいぞ」 「我認為那是很好的。用這塊布作成的衣服必定是很棒的囉!」
王さまも言いました。 國王也這麼說。
「最高の服を作ってくれ。楽しみにしているぞ」 「作成最高級的衣服。正期待著囉!」
「かしこまりました。しかし、仕立てにはたくさんのお金がかかります。お金や銀の糸で縫い取りをつけなければなりませんし、ボタンはほんもののダイヤモンドを使わなければなりません。世界一の王さまに相応しい、世界一の服を作るのですから」 「謹遵您的命令。但是,因為裁縫要花許多的錢。必需使用金和銀的絲線縫製,鈕釦必需使用真正的鑽石。因為要搭配世界第一的國王,而作成的世界第一的衣服」
「わかった。必(かなら)ずほんもののダイヤモンドを使うのだぞ」 「我知道了。必定要使用真正的鑽石吧」
王さまはうなずいて、山ほどの金貨を詐欺師たちに渡しました。 國王答應了,交給詐欺師們像山一樣的金幣。
沒有留言:
張貼留言
注意:只有此網誌的成員可以留言。